« 2017年6月 | トップページ

2017年7月

2017年7月18日 (火)

ヒラが会社を動かす

こんにちは,いわきの弁護士の戸川です。


「今日からヒラ社員のオレが会社を動かします」という本を買いました。

「人を動かす極意」が書いてあるらしい!!

なお,私はヒラ社員ではありません!(◎´∀`)ノ

中国の古典,鬼谷子(きこくし。孫子の師匠らしい)をもとに,どうやって人を動かすか,小説形式の本。

出版社のヒラ社員が,派閥のなかで,どうやって通したい企画を会議で通すかというストーリー。




弁護士は「企画を通そう」と頑張ることはありません。

が,いうなれば,裁判所を動かす仕事。
証拠を示し,法的理屈を示し,裁判官に勝訴判決を書いてもらう。

裁判でなくとも,交渉相手,場合によっては単なる第三者に動いてもらう。

まあ,だいたい,

「訴訟になるともっと不利になるよ,もっと面倒になるよ」

といって暗に脅すだけですけど・・・・

(ρ_;)








鬼谷子いわく,まずは量権と揣情。


●量権・・・情勢の把握
●揣情・・・各プレーヤーの目的や嗜好の把握
です。
「敵を知り己を知れば」とはいいますが。
主観面や心理面にも着目しているのが,なにげにすごい。



そして,情報収集のためには,会話で同調を示すのが有効ということです。
ここでも,共感を大事にする現代のカウンセリングに通じるものがあります。
ただし,鬼谷子は,時には軽く否定を交えるとか,逆に過度に肯定して相手の本音を引き出すことも推奨します。
ここらへんは,むしろ現代のカウンセリングより進んだ洞察かも。


そして,鬼谷子の偉大なところは,



相手の目的や嗜好に大筋沿った形で,それらを利用しつつ策をなす」


というのが本筋となっているところ。
無理やり動かすとひずみが生じるので,下策。
むしろ相手が動くのを助ける。












読んで面白かったので,さっそく,現在の手持ち事件の


①客観的情勢
②各当事者の目的


をA4一枚にまとめてみました。
①の分析は常日頃やりますが。
そこに人的分析を加味するのは初。



すると。



「Aという事実があった,いやなかった」と,法的にはバチバチに対立はしていますが。
意外に


「当事者の目的」


はなんとか両立可能なものばかりでした。


・顔が立つなら,内容はある程度譲歩してもよい
・逆に,名はともかく実をとりたい
・裏では,「少しやりすぎた」と思っており引く機会を狙っている
・譲歩はしたいが,金銭的にそもそも捻出できない
・結果はともかく,一矢報いたい


などなど。

法的争点①②③・・・が判決になったらどうなるかはともかくとして。
各当事者の「譲れない目的」を害しない範囲で調整はできるかもしれないな,と思いました。
 あとは,鬼谷子的には,利益,理屈,敗訴リスク,道義,不安の解消,下手に出る,名誉,など,各当事者が好むもの,嫌うものを示して動いてもらうだけです。


「情報収集が大事」
「交渉事はウィンウィンを目指せ」
なんて,良くいいますけれども。

2500年前の中国の理屈の方が洗練されていて実用的なのには驚かされます。
本の表紙は軽い感じですが,一読する価値アリ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いわき:みぎは法律事務所 弁護士 戸川 瑛

法律相談の予約をしたいので,弁護士戸川瑛のホームページへ行く

2017年7月13日 (木)

訴訟で正面からやりあうな?

みなさんは,敵に遭遇したとき,どのように戦いますか?


もちろん,相手はビジネス上の敵かもしれません。

親族と口論かもしれません。

酔っ払いとリアルに殴り合いかもしれません。



元自衛隊員が現代戦の戦術を解説する「戦術の本質」という本によれば,なんと,「戦いは迂回が基本」らしいですヨ!!








こんにちは,いわきの弁護士の戸川です。


企業「戦略」などと言いますよね?
このように,軍事技術や思想がビジネスに入ってくることは珍しくありません。

しかし,私は,軍事物なんてまったく読まないので。
この本,知らないことばかりで勉強になりました。


●現代の戦術の基礎


 ①迂回
 ②包囲
 ③突破
の3つがあり,基本はなんと①迂回


防御側は,有利な場所に陣営を築いている。
よって,攻撃側はそのまま軍事衝突をしてはいけない。
まずは相手の退路を塞ぐように迂回し,相手を陣営から引きずり出すべき,とのこと。


ふーん。Σ(゚д゚;)

みんな,色々考えて戦ってるんだナー。




弁護士業務で言えば。
「ここは争点になるだろう」と思って相手が厚く反論してくるところ,それ以外に叩けるサブ論点がないかきちんと探すってとこでしょうか。

裁判では,ある論点について大々的に反論を展開しないと,裁判官も


「その論点はあんまり争いがないんだな」


と誤解して,そのまま裁判が進んでしまうことがわりかしあります。

請求を基礎づける全要件をきちんと吟味し,相手の争点設定に惑わされないことが肝心ですね。

日本では,軍事というだけでアレルギーを起こす人が多いですが。
もっと研究されていい分野だと思いました。


正面から対峙してはいけない・・・・・
相手の陣地で戦闘してはいけない・・・・

クレーマー対策にも応用できそうですね!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いわき:みぎは法律事務所 弁護士 戸川 瑛

法律相談の予約をしたいので,弁護士戸川瑛のホームページへ行く

2017年7月10日 (月)

貸した金,返ってこない(後編)

「貸したお金が返ってこない場合,まず内容証明郵便を出すんですよね?」


最近の相談者は,たいてい,ネットで微妙に間違った知識をつけている人が多いです。

内容証明郵便というのは,「どういう内容の手紙だったか」郵便局が証明してくる特殊な郵便です。手紙の控えを郵便局が保管します。これによって,「手紙は受け取ったが,貸金を催促する内容ではなかった」というのを防ぐことができます。

また,「へんな郵便がきた!!」という脅しの効果もあります。


したがって。
脅しても意味がない人には,内容証明は何の意味もありません。

実際,貸金業者等はめったに内容証明なんか送りません。
「既に返済した」とか,理由をつけて返さない人。
「お金がなくてそもそも返せない」ということで,脅してもお金が出てこない人。


彼らに内容証明を送る必要は全くありません。
では,どうするか。


この法治国家では,「相手が任意に動いてくれない」場合は,「訴える」
しかありません。ということで,裁判所に行って,訴訟(あるいは支払督促)をし,勝訴判決をゲットして強制執行して回収することになります。


ここからが皆さん,知らないところなのですが。

この,強制執行というのがかなり難しいのです。
何が難しいかというと,



「差し押さえ先を自分で特定しなければならない」
預金差し押さえなら銀行名と支店名。
売掛金なら相手先と売掛金を特定するに足りる内容(何月何日発注のどこの工事か,とか)。

・・・・・・そんなもの,知るかー!!!!(# ゚Д゚)


となります。
仮に預金口座の支店名まで知っていて差し押さえても,預金残高が5000円なら5000円しか回収できません。
結局,差し押さえできずに,貸した金を回収できないことになります。
(ちなみに弁護士であれば,ある程度差押先を調べる手段があります)


ということなので,やっぱり


「安易に金を貸すな」


という結論に。
逆に,金を貸してもいい場合は,


「手堅い勤務先や持ち家など,容易に差し押さえ可能な財産をもっているか,そういう財産をもっている保証人がいること」


という,身も蓋もない結論に落ち着きます。


複数人に貸し付ける業者であれば,


「高めの利息を設定して,10人に1人くらい回収できなくても
ペイするように経営する」



という戦略も可能ですが,素人にはとりようがありません。



ということで,お金を貸すときは,あげるつもりでやろうね!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いわき:みぎは法律事務所 弁護士 戸川 瑛

法律相談の予約をしたいので,弁護士戸川瑛のホームページへ行く

2017年7月 4日 (火)

貸した金,返ってこない(前編)

こんにちは,いわきの弁護士の戸川です。

「知人にお金を貸したのですが,返ってきません。借用証はあります。どうすればいいですか」

(゚▽゚*)


というのは,よくある法律相談です。


とはいえ,法律には


「返済の約束をしてお金を交付したら,返さなアカンで」
(`Д´)


と書いてあるだけで,具体的にどうすれば返してもらえるのか,といったことは当然書いてありません。
今日は,そこら辺を語ろうと思います。





私に言わせれば,まず・・・・・・・・・



「安易に金を貸さないでください」



と言いたい。(`ε´)


だって,ですよ?

銀行でもアコムでもアイフルでも,彼らは職業として金を貸しているわけ。貸す前に,過去の延滞の有無を調べ,年収を調べ,持ち家か調べ,家族構成を聞き取って過去のデータから延滞率を割り出し,リスクに応じた利率を設定し,あるいは担保を設定し,ようやく貸す。場合によっては融資を断る。

そうやって,プロがノウハウを使って,それでも一定の割合で貸し倒れを容認しつつ,ようやく利益があがる。
もちろん,赤字の金融業者もごまんとあるでしょう。


「お金を貸す」というのは日常的なことにみえますが,このように完全にプロフェッショナルな世界なわけ。

それを,ポンと気前よく貸してしまう・・・・・・・
場合によっては,借用証すらなしに・・・・・・・
相手の住所も勤務先も不明・・・・保証人もとらない・・・・・・
そりゃ,返ってこないのは当たり前だにゃあ。
「返してください」と言っても返してくれない場合は,どうするのか。
伝家の宝刀を抜くしかないのです。


そう,みんな大好き,●●所。

【続く】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いわき:みぎは法律事務所 弁護士 戸川 瑛

法律相談の予約をしたいので,弁護士戸川瑛のホームページへ行く

« 2017年6月 | トップページ