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2017年3月 7日 (火)

営業損害賠償で損をしないために

「御社のせいで減少した売上4億円の賠償を請求します!」

というストーリで始まる,この本。

「ストーリーでわかる営業損害算定の実務」という本を買いました。

腐った食品を納品して取引先に損害を与えたところ,減少した売上を請求されている事例をもとに話が進みます。



ここで,「ん?減少した売上?」と思った方は,通です。


相手のせいで何かの取引がポシャって,4億円の売上がなくなってしまったとしましょう。

そうすると,相手に4億円,請求できるか?

否,です。


例えば,物品販売業の場合。
4億円売れたとしても,2億円とか3億円の仕入れがかかるわけですから,「4億円の売上減少=4億円の利益の減少」では絶対にないのです。商品原価を引かなければならない。


仮に原価がないサービス業であっても,4億円売れなかったことによって,電気代が減るとか通信費が減るとか,「売上減少によって減っている経費」部分があるはずなので,やはり4億円がダイレクトに損害額にはなりません。


この本では,あまり会計に詳しくない相手方弁護士が,減少売上分をそのまま請求してくるところから始まりますが,私も現実にそういう請求に直面したことがあります。「いやいやいや,減少利益分でしょ」と主張し,請求額がただちに半額になりました。おいおい・・・・・

ただし,その事案はサービス業だったので,


「経費はほとんど固定費だから変動費はない,だから損害=売上減少額だ!実際に,事件後も通信費や光熱費は減っていない。過去の決算書をみても,通信費や光熱費は売上額に対応していない!!」

などと主張する余地は十二分にあったのですが,相手のおじいちゃん弁護士はそういうことは全く言ってきませんでした。
知らないって,怖いわヽ(´▽`)/



営業損害を請求する場合,変動費と固定費をどう分解し,実際にどのように請求するか,きちんと解説する類書は全くないので,この本はとても勉強になりました。
通常,ストーリー仕立ての本は,読みにくくて使いがたいことが多いのですが。
「相手に資料を求める場合はきちんと特定しないと,別の期間の資料や足りない資料がでてきて期日が空転する」「非上場企業の月次決算書は間違っていることの方が多い」みたいな,弁護士あるあるが満載なので,ストーリー部分も勉強になりました。
ここ半年間で買った本で,だんとつ一位のお役立ち度です。



さあ来い,営業損害事案!!固変分解(固定費と変動費を分解すること)してやるぞ!!
(◎´∀`)ノ

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いわき:みぎは法律事務所 弁護士 戸川 瑛

法律相談の予約をしたいので,弁護士戸川瑛のホームページへ行く

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コメント

おじいちゃんをあしらう戸川先生の方が怖いわヽ(´▽`)/

それでその年代までつつがなく弁護士やっている老弁護士の方が怖いです。

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